中古車販売店を開業するときに必ず行わなければならない“コンセプトメイキング”とは?
2025.08.29
「これから車屋を開業しようと思っているけど、まず何をすればいいんだろう?」
そんな相談をよく受けます。
私はこう答えます。
「コンセプトを決めること。これがすべての出発点です」
…と言うと、決まって返ってくるのはこんな言葉です。
「いやいや、そんなの当たり前ですよ。コンセプトなんてみんな考えてるでしょう?」
──ところが、実際に事業をスタートしてみると、“在庫を揃えること”や“資金を回すこと”に追われ、コンセプトなんて口先だけで終わっている店舗が大半なんです。
では、なぜコンセプトが必要なのか?
そして、どうやってコンセプトをつくればいいのか?
今回はその答えを、5つのステップに分けてお話ししますね。
ステップ1. 人がモノを買う理由は何か?
まず最初の問い。
「なぜ人はクルマを買うのか?」
多くの人は、「通勤に必要だから」「家族が増えたから」「趣味のため」と答えます。
でも、これは表面的な理由に過ぎません。
人が本当に買っているのは、**モノではなく“役割”**です。
クルマを買うのは、単なる鉄の塊を欲しいからではない。
クルマを通じて、
家族との時間を豊かにしたい
毎日の通勤を快適にしたい
趣味のドライブをもっと楽しみたい
つまり、「良い未来」を買っているのです。
マーケティングの世界ではこれを PMF(プロダクトマーケットフィット) と呼びます。
「商品」と「市場」のニーズがぴったり噛み合ったときに、初めてお客様は財布を開く。
だからこそ、「売れるクルマを仕入れる」ことではなく、「お客様が望む未来」をどう提案できるかが、コンセプトの第一歩となるのです。
ステップ2. リサーチなくしてコンセプトは生まれない
さて、良い未来を提案すると言っても、独りよがりでは意味がありません。
そこで必要なのが「リサーチ」です。
ここで、ある実例を挙げましょう。
ある販売店は、軽自動車を仕入れては「燃費がいいですよ」「維持費が安いですよ」と売っていました。
確かに合理的な提案です。
ところが、同じ地域にライバル店ができ、「子育てママのための軽自動車専門店」というコンセプトを打ち出しました。
するとどうでしょう?
チラシには「チャイルドシートが楽に乗せられる後部ドアの高さ比較」や「ベビーカーが入る荷室ランキング」が掲載されていました。
結果、そのお店には、子育て世代の家族が一気に流れ込んだのです。
この違いを生んだのは「リサーチ」です。
リサーチすべきは、
- トレンドかどうか?(今の時代に合っているか)
- ライバルは何を打ち出しているか?
- お客様の“本当の悩み”は何か?
リサーチの深さが、コンセプトの強さを決めるのです。
ステップ3. 市場を考える──ウォンツとニーズ
次に、市場を深く理解しましょう。
ここで重要なのが「ウォンツ」と「ニーズ」の違いです。
ウォンツ=手段(例:ミネラルウォーターが欲しい)
ニーズ=目的(例:喉の渇きを潤したい)
お客様は「車が欲しい」と言っているようでいて、本当は「車を通じて人生を快適にしたい」と思っている。
さらに掘り下げるには、「不」の発掘が効果的です。
不安、不満、不便、不快。
この4つの“不”を100個ずつ書き出すのです。
例えば…
「買ったあとに壊れるんじゃないかという不安」
「どこに頼めばいいか分からない不便」
「営業マンに押し売りされる不快」
こうした“お客様の心の声”を理解したとき、初めて市場が見えるようになります。
ステップ4. 専門型コンセプトに絞る
ここで多くの経営者がつまづきます。
「誰でも歓迎します」というコンセプトを掲げてしまうのです。
結果、誰にも刺さらない。
成功するコンセプトは、必ず“絞り込み”がされています。
絞り方は3つ。
①人で絞る
②ジャンルで絞る
③地域で絞る
例えば──
「宮城県仙台市で、初めてマイカーを購入する方のための、超低金利ローン専門店」
これなら、お客様は「まさに自分のためのお店だ!」と感じます。
リサーチで見つけた“空白の市場”において、一番になれるテーマで勝負する。
これが、これからの時代のコンセプトづくりです。
ステップ5. 圧倒的な独自のウリをつくる
最後は、他では真似できない**USP(Unique Selling Proposition)**をつくることです。
ポイントは、**「お客様の言い訳を潰すオファー」**を用意すること。
「中古車は壊れそうで不安」
→ 「納車後1年以内は修理費0円保証」
「ローンが通るか心配」
→ 「審査通過率90%の専門スタッフが対応」
「車を買ってから相談しにくい」
→ 「LINEで24時間サポート」
お客様が感じるハードルを、独自の仕組みで消してあげること。
これが、圧倒的な信頼につながります。
まとめ:今こそ“お店で選ばれる”コンセプトを
最後に、強くお伝えしたいことがあります。
「車は在庫で売れる時代」から「お店の信頼で選ばれる時代」に変わりつつあります。
在庫で選ばれる店は、リピートされません。
でも、コンセプトで選ばれる店は、紹介され、口コミで広がり、LTVが高まります。
これから開業する方は、ここまで練り込んでからスタートしてください。
すでに商売をしている方は、自分の店のコンセプトを30秒で語れるかを試してください。
語れないなら──
淘汰されるリスクは、すぐそこまで来ています。
今からでも遅くありません。
ぜひ、あなたの店の“勝ち残るコンセプト”をつくってください。